約 773,952 件
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/2951.html
1 後ろの席の奴が、俺の背中をシャーペンでつついている。 こう書けば、下手人が誰かなど説明する必要はまったくないと言っていい。 なぜなら、俺の真後ろの席に座る人物は、この1年と3ヶ月余りの間に幾度席替えがあろうと、いつも同じだからである。 「あのなぁハルヒ。」 「何よ」 「そろそろシャツが赤色に染まってきそうなんだが」 「それがどうかしたの」 クエスチョンマークすら付かない。涼宮ハルヒは今、果てしなく不機嫌である。 去年も同じ日はこいつはメランコリー状態だったなぁと追想にふけることにして、俺は教室の前方より発せられる古典の授業と、後方より発せられるハルヒのシャーペン攻撃をしのぐ。思えばこの日は俺の今までの人生の中で最も長い時間を過ごしている日で、それは俺がタイムスリップなど無茶なことを2回もしているからに他ならない。 俺の、そして恐らくはハルヒの人生でも印象深い日。今日は七夕である。 去年と違うのは、こいつの憂鬱の原因を知っていることだが、かといってまさか「俺はジョン・スミスだ」などと言う訳にもいくまい。切り札はとっておかねば。というわけで、やはり俺はハルヒに小突かれ続けなきゃいかんらしい。今日は早めに学校を出て俺の家でSOS団七夕パーティーをやることになっているんだが、この機嫌で大丈夫なのかねぇ。ともかく、早く朝比奈さんのお茶が飲みたいね。俺にとっちゃ「かいふくのくすり」以上の効き目があるからな。あれは。 そんなこんなで終業のベルが鳴り、俺はさっさと部室へ退避する。 「はぁーい。」 ノックに応えてくれた朝比奈さんはすでにメイド服に着替えていて、いつものごとく俺に熱いお茶を淹れてくれた。俺は団長机に腰掛けてパソコンの電源を入れ、SOS団公式(学校的には非公式)サイトを開く。 「内容がない」というサイトのカウンタが回らない根本的な原因にようやくハルヒは気づいたようで、数週間前から活動日誌を団員持ち回りで更新するという面倒な行為を始めたのだが、長門が更新した回は数秒で読み終わるか、読み終えるまでに数時間はかかるとてつもなく長ったらしいコンピュータの話になるかの両極端だし、朝比奈さんが書いた文章はハルヒによって却下され代わりに写真をアップロードされているし(俺が気づいて削除したのはつい3日前だ)、古泉は古泉で長々しいミステリ論ばかりだし、ハルヒに至っては言いだしっぺのくせにサボるか、意味わかんない方程式だのを書くかなので、まともに日誌と呼べるのは俺が更新した分だけなんじゃないか? 「カウンタの回りが数倍にアップしたんですし、いいじゃないですか」 「そうは言うがな。古泉。」 「涼宮さんも満足げですし、問題ないですよ。彼女の精神の安定に寄与していることは間違いありません。精神自体はここのところ不安定ですがね。ま、今日はさらに安定しないでしょう」 まさにその通りだよ。痛む背中をさすりながら、今日のハルヒの様子を説明してやる。テーブルに座って本を読んでいる長門にお茶を渡すと俺の隣に来た朝比奈さんは、 「七夕は色々ありましたもんね」 と話しかけてきた。 「そりゃそうですね。タイムスリップしたり、世界を再改変したり――」 俺の回想はドアがノックなしに勢いよく開く音で中断された。一瞬の間。 「やぁ、ごめんごめん。遅れちゃった」 おい待てお前。さっきまでの不機嫌はどこいったんだ。去年と同じように竹を担いだハルヒが、にんまりと笑いながら入ってきた。全く、谷口によく似た人間をアシスタントにしている某番組のナビゲーターよりも態度がコロコロ変わる女だ。 「今年もみんなで願い事を書くのよ。毎年メッセージを送り続けなきゃ織姫と彦星だって忘れちゃうわ。」 今年もってことは、その竹もまた私有地の裏林からパクってきたのか。 「バレなきゃいいのよバレなきゃ。」 ハルヒは窓際に竹を置くと、俺を押しのけて団長席につき、中をゴソゴソと引っ掻き回し、短冊を取り出す。 「ちゃっちゃと書いて、早めにキョンの家に行きましょ」 実を言うと、俺の違和感は、この時からすでに始まっていた。 さて、何を書こうか。ヒントを得ようとハルヒのをみると、「彦星とさっさとくっついちゃいなさい」「織姫とさっさとくっついちゃいなさい」と書いてあった。 こいつにしてはなかなかロマンチックじゃないか。 「ちょっとキョン!なに見てんのよ。馬鹿なことしてないでさっさと書きなさいよ」 見えるように置いとくのが悪い。大体なに照れてんだよ。 「べっ、別に。」 ちなみに他の3人はというと、駄目だ、去年と似たり寄ったりで参考にならない。悩んだ挙句俺は、「毎日楽しい日々を過ごせますように」「無事に天寿を全うできますように」と書いたのだが、 「ふーん」 俺の短冊を見たハルヒは、なぜか複雑そうな顔をしている。 恐らく、この短冊が最終的な引き金だったんだろうな。 2 この後俺たちは全員そろって俺の家に移動して、何かの記念日を建前にかなりの頻度で開催されるSOS団的パーティーを楽しんだ。いつもそうだが、ドンチャン騒ぎである。途中で妹が乱入してきたのでなおさらだ。ハルヒがいつかの孤島の反省から酒をNGにしていなかったらと思うとゾッとするね。ツイスターやら2台つなげたノートパソコンやらありとあらゆる物が部屋の中に展開され、これを見て楽しくなさそうという感想を抱くものは一人もいないだろうな。 だが、なんだろう。この違和感は。 みんな楽しそうだったにもかかわらず、俺は漠然とした違和感を持ち続けていた。その正体をつかんだのは、すでにパーティーが始まってかなり経ってからだった。 それはほんの些細な違い。だが俺には、ハルヒのが無理をしてハイテンションを装っているように感じられたのだ。これはハルヒの精神分析医になれそうな古泉も同意見なようで、階下に飲み物を取りに部屋を出た俺は、古泉の「トイレに行ってきます」という声を聞いた。 「涼宮さんの様子がおかしいのはあなたもお解りでしょう。いやな予感がします」 廊下での会話だ。 「一体何が原因なんだ?」 「先ほど部室で言いそびれましたが、涼宮さんの憂鬱の原因は単なる七夕の思い出ではないのでしょう。彼女ははあなたを疑っているんですよ。」 「どういうことだ?」 「あなたにはお解りのはずですよ。とにかく、気をつけてください」 それだけ言うと、古泉は戻って行ってしまった。分かるような分からないような。どうすりゃいいんだ? 結局、その後しばらくして、パーティーはお開きとなった。帰っていくときのハルヒにも、無理している感じは残っていた。 自分の家でこういう行事をやることにはメリットとデメリットがあり、メリットは家に帰る手間が省けること、デメリットは騒ぎで部屋が見事にカオス状態と化すことである。いつもお嬢さまと少年執事に散かされた部屋を片付けるメイドさんの気持ちが良く分かる。しかし、帰るのと片付けるのではどっちが手間がかかるんだろうね。そんな事を考えながら部屋を片付けていると、くそっ、ノートパソコンの電源が付きっぱなしじゃねぇか。「キョン、あんたが明日持ってきて」と命令し、俺の反論は都合よく聞かずに放置してってんだから、電源ぐらい切って帰れてーの。 電源を切ろうと本体を開くと、テキストエディタが起動していた。 YUKI.N あなたはあなたの思う通りの行動をとればいい。 実に長門らしい、簡潔な文章である。だが長門がこういうメッセージを残すということは、何かが待ち構えていることと同義なのだ。 風呂に入り、俺は床に就いた。異様なプロフィールを持つ3人からの追加連絡はなかったからな。 3 うん、「また」なんだ。済まない。また俺はここに来ちまったようだ。 もう今度はレム睡眠談義は不要だろう。 ――キョン、起きて―― 予想通りというべきか、俺の夢にハルヒの声が乱入してきた。あまりいい夢ではなかったから惜しくはないけどな。 また首を絞められるのは嫌だと思いつつ、そんな思念だけで起きられるものなら俺は毎朝学校に行くときに苦労しない。結局、めでたく俺はまたしてもハルヒに首を絞められる運びと相成った。 さすがに目を開く。やはりというか―― 記憶そのままの奇妙な光に照らされた学校であった。 セーラー服を着たハルヒが俺の顔を覗き込む。ということはと思い、自分の体を確認してみると、やはり着ているものはスエットではなく制服だった。 「何なのかしら、ここ。去年と同じよね?」 「どうやらそうみたいだな」 さすがに2回目ともなると、ハルヒも驚いていない。 「キョン、とりあえず部室に行かない?」 その意見に否やはなかった。どうせそこ以外に行くところはないしな。パソコンを起動したらまた何かあるかもしれん。 荒々しくも手っ取り早い方法で職員室から「ぶしつのカギ」を手に入れ、部室棟へと向かう。 「あんたと話したいことがあるの。」 部室に着くなり、ハルヒはこう切り出した。普段は見せることのない、寂しそうな、不安げな、弱気な表情である。 「あんた、あたしに何か隠してない?」 さて、何のことだろう。心当たりがないのではなく、ありすぎて何のことだか分からないのである。 「この間、あんたが休みの日にみくるちゃんや有希や古泉君と一緒にいるところを見たのよ。それと、」 そう言いながら、ハルヒはそれ取り出した。 それは、 1年前のこの日、長門から受け取り、4年の時を過ごした、ハルヒの考えた宇宙人語が書かれた短冊だった――。 「あたし、昨日あんたの家に勉強教えに行ったでしょ?あのとき、あんたがトイレに行ってる間に、何気なく箪笥の引き出しを開けてみたら、これが出てきたの」 なるほど、疑うというのはこのことだったのか、古泉。しかし、自分の迂闊さのせいでまたしても世界崩壊の危機に直面することになるとは。 どうする?俺。だが、答えはすでに俺の胸にあった。 「この短冊に書かれている記号はね――」 「今から4年前にお前が東中の校庭に書いた、馬鹿でかいミステリーサークルのと同じ記号で、意味は『私は、ここにいる』だろ?」 このとき俺には、全てをブチ撒ける覚悟ができていた。世界がどうなろうともうどうだっていい、と思っていたわけではない。全てを曝しても、こいつは世界を変えることはないという自信がなぜかあったからだ。 「4年前の今日、東中に侵入したのはお前一人じゃない。女の子を担いだ高校生が一人いて、お前の線引きを手伝った」 ハルヒの表情が、不安から確信へと変わってゆく。 「俺は、ジョン・スミスだ」 4 「やっぱりね」 それから俺は、ほとんどの真実をハルヒに話した。ただ、こいつが神だとか進化の可能性だとか時間の歪みだとかというところは、改変された世界のこいつに対してもそうだったように、世界を変化させる力があるらしいことだけにとどめておく。俺にだってどれが本当なのかわからないしな。 殺風景な部屋で長門の電波話を聞かされたことから始まり、マッドな朝倉の襲撃、大人版朝比奈さん、閉鎖空間と神人、七夕の時間遡行、カマドウマ、15498回も繰り返された夏、映画撮影、改変された世界、それらにまつわる未来人・宇宙人・超能力者の組織・・・ 話していると、それぞれの光景が脳裏によみがえってくるようだった。俺の大切な思い出たち。それを今まで、目の前にいるこいつは知らなかったのだ。 そういえば、この閉鎖空間に神人は出現していないな。前回ここに来たときはもっと早く現れていたが、つまり、ハルヒの精神状態はイライラではなく、2人でここに来た理由もイライラではないのだろう。 言うべきことを全て言い終え、さてどうしたものかと考えていると、 「今度はあたしからも伝えることがあるの。」 って、まさかハルヒにも、俺に隠していたことがあるのか? 「そうよ。でも、あなたがジョンだって分かってない限りは伝えられない話なんだけどね。」 一呼吸おいて、 「あんたが去年の夏と冬から来たっていう4年前の七夕、なんであたしはあんな大きな図形を書こうとしたかわかる?」 あたしは宇宙人とか、未来人とか、超能力者が目の前にフラッと出てきてくれることを誰よりも望んでた。中学に入って、いろんな、そのときのあたしが考えられる限りの全ての方法で、何とかして特別な存在を見つけようとしていたの。 でも、何も出てこなかった。それに、周りの人たちが私を避けるようになった。そりゃそうよね。小学生のときのあたしがあれを見てもきっと避けてたと思うわ。だから、野球観戦に行ってから色あせたように感じてたあたしの日常は、限りなく無味無色になってしまったの。誰も自分のちっぽけさに気づいてない。誰もあたしのことを解っちゃくれない。だからね、あたし、決めてたの。 ――あの七夕の日、あの校庭にメッセージを書いて、そこに屋上から飛び降りて、全宇宙にメッセージを発信してやろうと。 家の自分の部屋には遺書をちゃんと残したし、もう図形を書いて飛び降りる以外にすることはなかったはずだった。 でも、校門をよじ登ってるとき、予想外のできごとにあった。あんたと出逢ったわけね。あのときのあんたほど、私の印象に残った人間はあんた本人以外ないわよ。「やれやれ」とかいいながらも、あたしを手伝ってくれて、宇宙人も未来人も超能力者もきっといると言ってくれた。 だから、あたしは、死ねなかった。やることが残ってしまったの。やるなら最後まで徹底的に不可思議な存在を探してやろうと思った。高校に入って、高校生になったあんたに出会うまで、ジョン――キョンはあたしの唯一の心の支えだったの。だからSOS団を作れたのも、今こんなに楽しい毎日を過ごせてるのも、ぜんぶキョンのおかげ。 このときの俺がどんな表情をしていたか、キャプチャー職人がいたらアップロードしてほしいぐらいだね。しばらくの沈黙の後、ハルヒは再び口を開いた。 5 「それからね、あんたの話を聞いて一つ不思議なことがあるのよ。あんたが前に会ってた佐々木って子、あの子もここみたいな、閉鎖空間って言うんだっけ?を持ってるのよね?」 「それはまず間違いないな。なんせ俺が実際に入ったんだからな。」 「実はね、あたし、あの子の顔を見たことがある気がするのよ。」 「確かに4月の頭に駅でお前と佐々木が出会ったときも、初対面にしては2人とも変だとは思ったが。でも、お前は佐々木のことを何も知らないんだろ?」 「そうよ。でも、・・・ううん、説明すれば分かると思うわ。あんたはあたしに変な能力が発生したのは今から4年前だって言ったわよね?あれは忘れもしないわ。」 中学に入って、あたしが世界に訴えようとする行動を始めて周りから避けられ始めて少しした日の夜、変な夢を見たの。 なんか自分がワープしてるような感じがする、変な空間を猛スピードで移動してる夢だったんだけど、自分が進む先に女の子が一人いたの。その子が移動するスピードはあたしより遅くて、しばらくして追いついたのね。そしたら、その子があたしの方を向いて、 『全てを君に託すことにしたよ。君ならうまくできると思うよ。よろしくね』 って言ったの。あたしは意味がわかんなくて、とりあえず『うん』って言って、もう少しまともな答えをしようと考えたの。でも、気が付いたら、その子はあたしよりずっと後ろの方にいた。 彼女は一回うなずくと、全身から、白い、まばゆい光を発したの。その光はあたしの方に向かってきて、次の瞬間、あたしは光に包まれた。その光が自分の中に入ってくる感覚が気持ち悪くて、そこで目を覚ましたの。 「その女の子が佐々木じゃないか、ってことか。」 「そう。今でもその夢は鮮明に記憶に残ってるの。去年あんたとここに来たのが夢じゃないって解ったから、あたしが覚えてる夢で一番はっきりしてるものに昇格したわ。もしかして夢じゃなかったのかしら。」 「その可能性もあると思うぞ。」 口ではそう言ったが、俺はその記憶が夢であるとは微塵も思っていなかった。ハルヒもそうなのだろうが。そうなると、ハルヒの能力がどこから来たのか、説明がつくことになる。そしてその能力がどういう形態をしているのかもな。 「いや、俺は夢じゃないと確信している」 何故だかは解らない。ただ、自分の心中に反することを言ったことに心が疼いたのだ。もう、こいつに対して隠すべきことはほとんどないのだ。俺の部屋のベッドの下のようなものを除いてはな。いや、それすらも隠すべきではないのかもしれない。って、なに考えてんだ、俺。 6 「あんたがジョンだって可能性は、入学したときからずっと考えてたのに、いざ本当となると結構混乱するのね。てことは、SOS団の名前の由来も知ってるわけよね。」 「世界を大いに盛り上げるためのジョン・スミスをよろしく、だろ?」 「そう。でも、本当はもう一つ意味をかけていたの。SOSそのままの意味よ。この団なら、色のないあたしの日常を救助してくれるんじゃないかってね。」 「・・・」 俺は、しばらくの間、言葉を返せなかった。毎日が限りなく退屈に感じられる日常とは、どのような心地がするものなのだろうか。今、こいつは幸せなのだろうか。いや、何かあるからこそここに俺を連れてきたんだ。それは何だろうか。それはずっと俺が感じているモヤモヤと同じなのかもしれない。 「あたし、バカよね。」 「いきなり何を言い出すんだ」 「だって、去年この世界から帰ってきたあとの喫茶店で、あんた真相を言ってくれたじゃない」 ああ、軽く一蹴された挙句、財布持ってないからと奢らされたあの喫茶店での会話か。 「しょうがねえよ。あんな話を突然されて信じるような奴がいたとしたら、そいつはオレオレ詐欺に何回も引っかかるだろうよ」 「自分で望んでたくせして、目の前の真実をむざむざ見逃すとはね。でも、今なら例えあんたがどんな突飛な話をしても、信じる自信があるわ。」 俺が感じているモヤモヤは、今までにない速さで輪郭を形成しつつあった。 「そんな事を言うなら、俺もカマドウマ並みの阿呆だな。」 「コンピ研の部長の家に出たっていうあれ?」 「はは、それに違いない。真実をブチ撒けたのに、まだお前に話せていない大事なことが2つもあるからな。」 「一つ目。俺もかつてはお前が望んでいたような世界を望んでいたんだ。だが、俺はそれを早々に諦めてしまった。だから、高校に入ってお前を見たとき、正直お前の生き方が羨ましくなった。かつて望んでいたような世界が現実になって、やれやれと不平をたらしながらも、俺はこの日常が楽しくてしょうがないんだ。」 「心配しなくても、そんなこと解ってるわよ。あんたを見てれば解るの。」 しばしの沈黙。 なぜここで沈黙かって?モヤモヤが完全にはっきりした俺にとって、二つ目の『大事なこと』を告げるのには勇気が要ったからだ。ハルヒはハルヒで何かをしようかしまいか迷っている表情をしている。 俺が少ししかない勇気をかき集めて口を開こうとしたまさにそのとき、ハルヒが言葉を発した。 「そんなこと、言うなら、あたしにも言うべきことがあるわ。・・・あたしね、あん――」 「おっと、俺の二つ目がまだ言い終わってないぜ。 ハルヒ、好きだ。」 「ちょっとキョン!先に言わないでよ!あたしだって、・・・あんたのことが、・・・好きなんだから・・・」 こんなに赤くなったお互いを見たことはないと断言できる。だが、そんなことは、今の俺たちには関係ないね。 「キョン。」 「ハルヒ。」 ごく自然と、真っ赤なハルヒの顔が接近してくる。ハルヒが接近してきたか、俺が接近したかなんて、もう、俺にはわからない。 俺たちは、唇を重ね合わせた。 さまざまな思念が、奔流となって、俺の頭の中を駆け抜ける。やがて、その全ての思いが、一点へと収束していく。すなわち、こいつ、涼宮ハルヒを愛しむ想いへと。こいつとずっと一緒にいたい、そう思った。 永遠とも思える時間のあと、不意に俺は重力の消失を感じた。そういえば今いた場所は閉鎖空間だったか。 ってことは、次に気が付くのは、自分の部屋の、自分のベッドの上か。 この予想は間違っていなかった。予想通り、次の瞬間にいた場所は、俺の部屋の、俺のベッドの上だったが、二つの点で、前回閉鎖空間から戻ってきたときと異なっていた。 つまり、一つ目は俺「たち」が制服を着たままだったことで、もう一つは今の表現からお解りの通り、俺とハルヒは抱き合い、唇を合わせたままだった。 さて、ここから翌朝までは、記述を差し控えさせてもらおうか。 7 翌朝、俺がハルヒを家族に見つからないように外に出すのに、負傷した女スパイを導く某ダンボール使いの潜入のエキスパート並みの細心の注意と行動を要したのは、言うまでもないだろう。 鞄を取りにハルヒの家に立ち寄った後から学校に到着するまで、俺らが手を繋いだままで登校したせいか、「俺とハルヒがくっついた」という噂は、ハルヒと朝比奈さんがバニーガールの衣装でビラ配りしたあの伝説の事件の噂よりも早く広まった。授業中も俺のほうを向いてはニヤニヤしていた谷口は、 「キョンにはお似合いだと前から思ってたぜ。てかお前にはあいつ以外に合う奴がいねえだろ。」 などと言っていた。つーかお前も早く彼女つくれよ。 その日の古泉との会話である。 「僕にとって、一番興味深かったのは、涼宮さんが言っていたという佐々木さんの話ですね。」 「あれは俺も俺なりに考えてみたんだが、佐々木がハルヒにあの能力を渡したってことなのか?」 「簡単に言えば、そうなるでしょう」 「だが、それなら橘京子たちの組織はもっと昔からあってもいいようなもんだが」 「そこですよ。ちょっと推測してみましょう。佐々木さんのような人が、自分のイライラを制御する組織を必要とするでしょうか?答えはノーです。僕たちの『機関』も、彼女たちの組織も両方とも涼宮さんが創り出したと考えるのが妥当でしょう。」 「よく意味がわからん」 「涼宮さんがあの能力を得たときのことを考えてみましょう。突然能力を得たと知った、彼女の無意識下の理性は、どう考えるでしょうか?ここで二つのパターンが予想されます。一つは、自分を制御してくれる存在があれば大丈夫だろうという、どちらかという楽観論的な思考です。そしてもう一つの思考パターンは、自分がこの能力を持つことは危険だ、だから元の持ち主に戻すべきだという、若干悲観論的な考え方です。」 「ってことは、」 「僕たち『機関』は、涼宮さんの前者の理性を反映し、橘さんの組織は後者の理性を反映しているのですよ。だから、涼宮さんの理性がせめぎ合っていたように、僕たちも敵対していたのでしょう。」 古泉は続けて、 「ですが、これからは、橘さんのほうの組織は衰退していくでしょう。涼宮さんの中で、自分は『能力』を持っているべきだ、という考えが強くなるからです。彼女が能力を持っていたからこそ、僕たちはここに一同に会することができたのですから」 「まだ解らんことがある」 「どうぞ」 「なぜ佐々木は『能力』をハルヒに渡したんだ?」 「これも僕の推論ですが、佐々木さんは世界が自分の思い通りになって欲しくなかったんでしょう。そして、4年前、何かで世界が自分の思うように変わってしまうのを見てしまう。彼女はこの能力は自分には必要ない、もっとこの能力にふさわしい人のものであるべきだと考えたのでしょう。」 「それがハルヒか。」 「そうです。涼宮さんは不可思議な現象を誰よりも望んでいました。だから彼女に『能力』が授けられたのでしょう。ともかく、そのように考えた佐々木さんは新しい世界を創造し、そこに1日前の時点の全てをそっくりそのまま移動した、このように考えると辻褄が合います。」 「ハルヒが言ってた移動する感覚はこのことか。待てよ、すると、未来人が4年前より前に遡れないのも・・・」 「その通り。世界が存在しないのなら、遡りようがありませんからね。」 その後のことを、少し話そう。 それからも、ハルヒが事の真相を知っていること、俺とハルヒが一緒にいる時間が増えたことをを除いては、以前と同じSOS団的な日々が続いた。相変わらず違う時空の未来人やら天蓋領域やらとドタバタも続いたが、今度は本当に5人全員で切り抜けてきた。夏休みの合宿第2弾やら、映画やら、バンドやら、相変わらずである。 以前、長門や古泉や朝比奈さんが心配していた「ハルヒが真相を知ることによる弊害」は起こらずに済んだ。その理由を一番端的に表しているのは、ハルヒの 「こんなすごいこと、他の人に知らせたらもったいないじゃないの。これはあたしたちSOS団だけの秘密なんだからね!」 という科白だろう。 ――時は変わって7年後、今日は7月7日、いわずと知れた七夕デーだ。 今日は、7年前と同じく、SOS団パーティーが開催される。 今年の七夕パーティーは、SOS団のパーティーでは史上2番目に壮大なパーティーになるはずである。 ここまで言ってしまえば分かる人は解ると思うが、史上最大は去年の今日である。 スペックの異様さを除けばほぼ普通の人間になっている長門や、以前のように偽りではなく、屈託なく笑うようになった古泉とはしょっちゅう会っているが、朝比奈さんには去年の今日、久しぶりに会った。記憶そのままの朝比奈さん(大)の姿で。彼女によると、自分がこのパーティーに参加するのは「既定事項」であったそうな。 以前は七夕になると、決まってブルーになっていたハルヒだが、今はそんなことは全くない。 何でかって?決まっている。 ――今日は、俺とハルヒの、結婚一周年の記念日だからだ。 P.S おっと、書き忘れたことがある。実は今日のパーティーは、ハルヒの妊娠祝いも兼ねているんだ。しかし、名前を考えるってのは、妙に気恥ずかしいな。 完
https://w.atwiki.jp/yuriharuhi/pages/88.html
参考:すぷれい http //supurei.untokosho.com/ 344 :名無しさん@秘密の花園:2008/04/09(水) 02 23 41 ID 4HBt5F7G このハルヒ、ペアルックしたくてわざわざ カーディガンも用意した上でことに及んだんだろうなと 幸せいっぱいに妄想してみる。 さりげなく、ハルヒの脚の間に膝を入れている長門に、 攻守逆転の布石を打つ熟達の技を感じた。 345 :名無しさん@秘密の花園:2008/04/09(水) 03 49 00 ID aLJmmRum あのまま足を動かすとハルヒがふじこるわけですね 346 :名無しさん@秘密の花園:2008/04/10(木) 00 02 18 ID g5K+wf03 ハルヒ総受け 347 :名無しさん@秘密の花園:2008/04/10(木) 02 21 50 ID wtOiEYSH 344-345 あ…ありのまま 今 起こった事を話すわ! 『あたしは有希を押し倒してポジション逆転に成功したと 思ったらいつのまにかイかされてた』 な… 何を言ってるのか わからないと思うけど あたしも何をされたのかわからなかった… 頭がどうにかなりそうだった… 騎乗位だとか電気アンマだとか そんなチャチなもんじゃあ 断じてない もっと恐ろしいものの片鱗を味わったわ… 348 :名無しさん@秘密の花園:2008/04/10(木) 13 58 00 ID G8TaxRNY 改変コピペですら萌えてしまう・・・ハルヒ恐るべし
https://w.atwiki.jp/haruhi-2ch/pages/50.html
涼宮ハルヒの憂鬱 基礎データ 著:谷川流 口絵・イラスト・表紙:いとうのいぢ 口絵、本文デザイン:中デザイン事務所 初版発行年月日:平成15年(2003年)6月10日 本編:293ページ 表紙絵:涼宮ハルヒ タイトル色:赤色 受賞:第8回スニーカー大賞<大賞>受賞(選考委員:あかほりさとる、飯田穣治、藤本ひとみ、水野良)注:全会一致でスニーカー大賞に選定。 初出:第8回スニーカー大賞受賞作『涼宮ハルヒの憂鬱』に加筆修正したものです。 初出順第1話 裏表紙のあらすじ紹介 「ただの人間には興味ありません。この中に宇宙人、未来人、超能力者がいたら、あたしのところに着なさい、以上」入学早々ぶっ飛んだ挨拶をかましてくれた涼宮ハルヒ。そんなSF小説じゃあるまいし……と誰でも思うよな。俺も思ったよ。だけどハルヒは心のそこから真剣だったんだ。それに気づいた時には、俺の日常は、もうすでに超常なっていた――。第8回スニーカー大賞<大賞>受賞作、ビミョーに非日常系学園ストーリー! 目次 プロローグ・・・Page5 第一章・・・Page9 第二章・・・Page47 第三章・・・Page101 第四章・・・Page138 第五章・・・Page161 第六章・・・Page204 第七章・・・Page250 エピローグ・・・Page294 あとがき・・・Page301 解説 スニーカー文庫編集部・・・Page304 アニメ テレビアニメ『涼宮ハルヒの憂鬱』 放送第2話『涼宮ハルヒの憂鬱 I』(2009年放送では第1話) 放送第3話『涼宮ハルヒの憂鬱 II』(2009年放送では第2話) 放送第5話『涼宮ハルヒの憂鬱 III』(2009年放送では第3話) 放送第10話『涼宮ハルヒの憂鬱 IV』(2009年放送では第4話) 放送第13話『涼宮ハルヒの憂鬱 V』(2009年放送では第5話) 放送第14話『涼宮ハルヒの憂鬱 VI』(2009年放送では第6話) 漫画 ツガノガク版(雑誌の発表号などの詳しい情報はツガノ版漫画時系列で) コミックス第1巻に収録第1話『涼宮ハルヒの憂鬱Ⅰ』 第2話『涼宮ハルヒの憂鬱 II』 第3話『涼宮ハルヒの憂鬱 III』 第4話『涼宮ハルヒの憂鬱 IV』 第5話『涼宮ハルヒの憂鬱 V』 コミックス第2巻に収録第6話『涼宮ハルヒの憂鬱 VI』 第7話『涼宮ハルヒの憂鬱 VII』 第8話『涼宮ハルヒの憂鬱 VIII』 第9話『涼宮ハルヒの憂鬱 IX』 みずのまこと版 コミックス1巻 ※保有している方加筆お願いします。 登場キャラクター(原作のみ登場) キョン 涼宮ハルヒ 長門有希 朝比奈みくる 古泉一樹 朝倉涼子 谷口 国木田 キョンの妹 朝比奈みくる(大) あらすじ 後に繋がる伏線 こぼれ話 スニーカー大賞投稿時から現在に至るまで一貫して本作のタイトルは『涼宮ハルヒの憂鬱』である。谷川流が投稿作のタイトルを思案していたところ、本棚に並んでいた吉野朔実著『栗林かなえの犯罪』が目に留まり、「よしこれをパクろう!」と思い立ち本タイトルに決定した。しかしながら、単行本発行の際、憂鬱という文字が(当時のライトノベルユーザーには)読み辛いのではないか?という意見が編集部の中で上がり、【創造主のマスカレード】【グルグルグルーミー】【ダブルサイドH】等、40本以上のタイトル案が出され、担当編集と編集長による会議の結果「この作品を読んでもらって憂鬱という漢字を覚えてもらえばいい」との結論に至り、応募タイトルのままの出版と相成った。 実在時系列順エピソード表 ※出版年や西宮市に実在した夏祭り、および本編の記述から、憂鬱編は西暦2003年の出来事と推定。 2003年5月06日(火) 「曜日で髪型変えるのは、宇宙人対策か」 2003年5月13日(火) 「ないんだったら自分で作ればいいのよ!」→文芸部室占拠 2003年5月14日(水) みくる連行→SOS団設立 2003年5月20日(火) パソコン強奪事件 2003年5月21日(水) SOS団サイト設立、放課後校門にてバニーで宣伝 2003年5月22日(木) みくる学校を休む→国木田「ほんと昨日はびっくりしたよ」朝倉「このSOS団ってなんなの」 2003年5月23日(金) 古泉来た→長門マンションで電波話 2003年5月24日(土) SOS団ミーティング 2003年5月25日(日) みくる未来人告白、長門と図書館 2003年5月27日(火) 古泉超能力者告白 2003年5月28日(水) 長門vs朝倉 2003年5月29日(木) 大人みくる登場、ハルヒ過去告白、梅田で閉鎖空間 2003年5月30日(金) 「ポニーテール萌えなんだ」 刊行順 ↑第1巻『涼宮ハルヒの憂鬱』↑第2巻『涼宮ハルヒの溜息』→
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/4533.html
空から振る冷たい水に当たらぬよう差しかざした職員用のそれは明らかに定員オーバーで、それなのに寒さ故に微かに震えたあたしの肩がちっとも濡れていなくて、隣に居る男の無駄な優しさに腹が立った。 その男は持論を淡々と述べていた。雨音にかき消されることのないよう普段より少し大きめの、しかしどこか優しくあたしを諭すような声で。 諭される筋合いなど無い。何故なら今「男の持論」と称したものはあたしの持論でもあるからだ。いつだったか机に突っ伏しながら独り言のように呟いていたのを覚えている。 今でもあたしにはその思想が変わらずにしっかりと根付いている。受け売りの癖して偉そうにしている部分を除けばこの男の話に異論は無いのだが、あたしの視界がどんどん滲んでいくことから矛盾が生じていることに気がつく。 左上に視線をやると冴えない男の横顔。 昨日と何の違いも無いはずなのに、どうしてか今まで見たどの横顔よりも凛々しく、そして格好良く映った。 本日、私涼宮ハルヒは失恋しました。 「ハルヒ」 「何よ」 「好きだ」 「……え?」 「いや、『好きだった』んだ」 「……」 「恋愛感情なんて一瞬の気の迷いで精神病の一種だと俺は思う」 「……」 「付き合いなんてその場の口約束だし、結婚なんて薄っぺらい紙約束だ」 「……」 「そんなくだらん約束でお前を縛りたいとも繋ぎ止めたいとも思わない」 「……」 「だからお前を恋人と呼びたくない」 「……」 「だがもう一度言うぞ。好きだ、ハルヒ」 本日、私涼宮ハルヒは失恋しました。 失ったその瞬間に初めてこの男に恋していたことに気付いたあたしは、 それと同時に新たな持論を確立したのだった。 「……あたしも好きよ、キョン」 要するに、あたしがこの男に抱く感情に足りる表現など存在しない。 それはこの男にとっても同じなのだ。 本日、私涼宮ハルヒは失恋しました。
https://w.atwiki.jp/haruhi-2ch/pages/51.html
涼宮ハルヒの溜息 基礎データ 著:谷川流 口絵・イラスト・表紙:いとうのいぢ 口絵、本文デザイン:中デザイン事務所 初版発行年月日:平成15年(2003年)10月1日 本編270ページ 表紙絵:朝比奈みくる タイトル色:橙色 初出:書き下ろし 初出順第5話 裏表紙のあらすじ紹介 宇宙人未来人超能力者と一緒に遊ぶのが目的という、正体不明な謎の団体SOS団を率いる涼宮ハルヒの目下の関心後とは文化祭が楽しくないことらしい。行事を楽しくしたい心意気は大いに結構だが、なにも俺たちが映画をとらなくてもいいんじゃないか?ハルヒが何かを言い出すたびに、周りの宇宙人未来人超能力者が苦労するんだけどな――スニーカー大賞<大賞>を受賞したビミョーに非日常系学園ストーリー、圧倒的人気で第2弾登場! 目次 プロローグ・・・Page5 第一章・・・Page14 第二章・・・Page48 第三章・・・Page100 第四章・・・Page154 第五章・・・Page210 エピローグ・・・Page270 あとがき・・・Page276 アニメ テレビアニメ『涼宮ハルヒの憂鬱』より 未アニメ化(ただし、一部は2006年放送第01話『朝比奈ミクルの冒険 Episode00』、2006年放送第12話『ライブアライブ』の一部に組み込まれている。) 2009年改めて放送した『涼宮ハルヒの憂鬱』より 2009年放送第20話『涼宮ハルヒの溜息 I』(第1章P14-第2章P56まで) 2009年放送第21話『涼宮ハルヒの溜息 II』(第2章P56-第3章P110まで) 2009年放送第22話『涼宮ハルヒの溜息 III』(第3章P111-第4章P165まで) 2009年放送第23話『涼宮ハルヒの溜息 IV』(第4章P166-第5章P220まで) 2009年放送第24話『涼宮ハルヒの溜息 V』(第4章P221-第5章P271まで、プロローグP5-P11まで) 漫画 ツガノガク版(雑誌の発表号などの詳しい情報はツガノ版漫画時系列で) コミックス第5巻に収録第23話『涼宮ハルヒの溜息Ⅰ』 第24話『涼宮ハルヒの溜息 II』 コミックス第6巻に収録第25話『涼宮ハルヒの溜息 III』 第26話『涼宮ハルヒの溜息 IV』 第27話『涼宮ハルヒの溜息 V』 登場キャラクター(原作のみ登場) キョン 涼宮ハルヒ 長門有希 朝比奈みくる 古泉一樹 鶴屋さん シャミセン 谷口 国木田 キョンの妹 あらすじ 後に繋がる伏線 刊行順 ←第1巻『涼宮ハルヒの憂鬱』↑第2巻『涼宮ハルヒの溜息』↑第3巻『涼宮ハルヒの退屈(原作)』→
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/1913.html
四月、季節は春。 春は世間一般ではお花見だ、歓迎会だなどと浮かれる季節となりがちだが 俺たち学生からしたらそれ以上に意識してしまうものがある。 そう、受験及び就職活動だ。 月日が立つのは早い。 去年までは浮かれていた俺たちSOS団(朝比奈さんを除いて)だが 今年から俺たちも三年生なのである。 俺は二年の時も低空飛行さながらのスレスレ具合だったため冷や冷やしたが無事進級した。 そして我等が天使朝比奈さんは無事東高近くの大学に受かり終わり次第 俺たちの部室に来てメイド兼お茶くみ係をしてくれている。 わざわざ来た上に何と律儀な事だ。爪の垢を煎じてどこかの団長さんに飲ませてやりたいね。 他のメンバーは言わずもがな皆余裕しゃくしゃくで進級した。あ~忌々しい。 しかし受験年だからと言って勉強休みなど団長が与えてくれるはずもなく 今日も今日とて鶏が毎日朝早くに鳴くように当然として部室に向かっている俺なのである。 俺は授業が終わるといつもの道を通りいつもの部室前で人間が外出する時に靴を履くように当然に 行わなければならない動作ノックをし、朝比奈さんの「は~い」と言うまるで天使のような いや、天使すら従えてしまいそうな可愛らしい挨拶を聞くと部室に入った。 浮かれるような天候の春なのだから開けてメイド服への着替えシーンを目撃しても 「すいません、うっかり」で済みそうだなと思いながらも そんな勇敢極まりない行動など出来ない俺を自分で呪いながらもね。 部室の中にはこれまた寒いと鳥肌が立つように当然として いつもの定位置に座り分厚いハードカバーを読んでいる長門を見た後 「あれ?ハルヒはまだ来ていないんですか?」と朝比奈さんに質問した。 ハルヒは授業が終わったと同時に教室を飛び出していったはずなのにと首をかしげていると 「涼宮さんなら先程玄関で先生と討論を繰り広げていらっしゃいましたよ」と 何故か後ろから答えが返って来た。俺は振り返りむかつくほどの爽やかスマイル男古泉を一瞥し 「討論?」と聞き返した。 「はい、討論でした。遠くから見かけただけなので何を話しているかまでは分かりませんでしたが 大層怒鳴っていましたよ。ちなみに今僕は閉鎖空間帰りです。」 お前の事などどうでもいいが、ハルヒが先生を相手にするなど珍しい事もあるもんだ。 嵐が起きなきゃいいけどな。 ま、何にせよ今だけは身体を休めておかないといけない。 その話を聞いたところによるといつあの団長が怒りながら此処にやって来るか分からないからな。 その後俺は朝比奈さんの入れてくれた何よりも美味なお茶をすすりつつ 古泉とアナログなゲームをしながら、時々長門を見るといったいつも通りの行動をとっていた。 あのハルヒが来るまではな。 その日のハルヒは荒れていた。 いつも以上の大蹴りでドアを蹴飛ばすと挨拶もせずズカズカと団長席に座り オドオドしている様も美しい朝比奈さんの入れたお茶をいつもの倍のスピードで飲み干しつつ パソコンを始めたかと思うとこう俺に絡んできた。 「何であんたはそんなに頭が悪いのよ!!」 WHAT?自慢じゃないがそんなの今に始まった話じゃないだろ? 「だからこそよ!!あんたなんか団始まって以来の落ちこぼれよ!!このままじゃ…」 このままじゃ? 「とにかく今日は解散!!そして家でちゃんと勉強すること!! いい?特にキョンは馬鹿なんだからしっかり勉強しなさいよね!!」 そんな団長の身勝手な解散宣言により帰らざるを得なくなった俺たちは家へ帰宅した。 普通学生ならば何かしら用事のあるものだがいつもSOS団の活動でスケジュールが 埋められた俺は何もすることがなく仕方なしに机に向かった。 「全くわからん」 この前デパートで何気なく買った問題集に取り組んだのだが十問目で壁に当たったのである。 その後数分うなったが分からん時は頭を休めるのが一番などという俺流ルールの元 ベッドに入りそのまますやすやと眠りの世界へ落ちてしまったのだった。 「…き…下さ…」 ん?何だ? 「起きて下さい」 目を開けると古泉が俺を覗き込み起こしていた。 顔を近づけるな、気持ち悪い。と言うより何でお前が俺の部屋にいる。 「まだ寝ぼけているようですね。此処はあなたの部屋ではありません。」 俺の部屋じゃないって?なら何処だ? 「周りを見れば分かるでしょう?」 あぁ、分かってはいたさ。だが認めたくなかったね。 また此処、閉鎖空間に来るなんてさ。しかもご丁寧に制服に着替えさせられて。 希望があるとすればSOS団の面子が揃っている事だな。 「そうですね。心強いばかりです。」 全くだ。しかし何故こんなところに俺たちはいるんだ? 「おそらく今日の涼宮ハルヒのストレスの元が原因」 やっぱりか。ならまたハルヒの奴を見つけなければならんようだ。 でもその前に、起きて下さい朝比奈さん。 「ふぇ?ななな、何でキョンくんが私の部屋にいるんですかぁ?」 先程俺も同じ事を言いましたよ。しかし朝比奈さんの反応の方が素晴らしかったですが。 「ってことは此処は…閉鎖空間…ですか?」 はい、間違いありません。長門とついでに古泉がそう言ってますから。 「そっかぁ~…やっぱり…部室での涼宮さんおかしかったし…」 確かにそうですね。でもまずは元の世界に戻るためにアイツを見つけないと。 「そうですねぇ…」 「闇雲に探しても見つからないでしょう。居そうな場所から探しませんか?」 居そうな場所ね。やっぱりあそこしかないだろ。 「部室。過去の同様の閉鎖空間の例でも此処での出現率が一番高い。」 だろうな。俺たちの集まる場所は此処か駅前か喫茶店くらいだからな。 見慣れたはずだが灰色だとやはり不気味な廊下を渡り部室前に行く。 途中で朝比奈さんが泣きそうになりながら抱きついてきた時理性を保てた俺を自画自賛するね。 「いいですか?開けますよ?」 そう言うと古泉が先頭でドアを開けそれに続き俺、長門、朝比奈さんと続いた。 やはり居た。 ハルヒはしばらく此方に気づかなかったが俺たちの姿を見るなり いきなり100Wの笑顔になり「遊びましょう!!」と叫んだ。 それを聞くと朝比奈さんは安心したように笑い、古泉はやれやれと言うような顔をし、 長門はやっぱり無表情だった。しかし俺は笑えなかった。 いつもと何か違う感じがした。 何がだ?何がいつもと違う?遊びましょう? そうか…ハルヒは… 「何やってるのよキョン!!早く遊ぶのよ!!」 ハルヒ 「何よ?」 何を隠してる? 「え?」 お前はいつもと違う。俺たちに何を隠してるんだ? 「何…言ってるのよキョン。いつもと同じよ…」 いや、違うね。俺の知っている涼宮ハルヒは遊ぼうなんて言わない。 「いつも遊んでるじゃない…」 そうじゃない。ハルヒがいつも俺たちとするのは 宇宙人、未来人、異世界人、超能力者探しかSOS団の名前を広めることだ。 決して遊ぼうなどとは言わない。 「それは…」 「それは……あんたが悪いのよキョン!!」 何だって?俺が悪い? 「そうよ!!あんたの頭が悪いから悪いの!!」 何言ってんだ。そんなの前から「あんたの頭が悪いから皆同じ大学に入れなさそうなの!!」 は? 「先生に聞いてみたのよ。そうしたら私達はともかくあんただけは… あんただけは今のままじゃ危ないって…何とかしなさいって掴みかかっても無駄だった… なのにあんたは平然としてる!!嫌じゃないの?離れたらSOS団は解散になるのよ?」 俺のために… 「あんたのためだけじゃない。この団のためよ…」 でもな、ハルヒ。 「…何よ?」 いつからこの団はスクールライフを面白くするための涼宮ハルヒの団になったんだ? 「は?」 世界を大いに盛り上げるための涼宮ハルヒの団じゃなかったのか? 「何がいいたいのよ…」 「キョンくん…」朝比奈さんが泣きそうなハルヒの近くに寄る。 しかし構わず俺は続ける。 言っちまうのか俺?やれやれと散々溜息をしていたのにそれを続けることになる言葉を言うのか? 言っちまうんだな?いいぜ。後悔はしないでくれよ未来の俺。 「SOS団は離れてもこの世の全ての不思議を解き明かすまで永久不滅なんだろ?」 ハルヒの、古泉の、朝比奈さんの、長門でさえも少しだが驚いた顔をした。 もちろんこの言葉も忘れないけどな。 「俺ももちろんこれから同じ大学に行ける様努力するさ。もちろんな。」 「……ふん…分かってきたみたいじゃない!!いい?さっきの私の言葉は忘れなさい!! 今言ったとおりSOS団はこの世の全てを解き明かすまで永久不滅なんだからね!!」 AM4:00 目覚めると部屋に居た。 全く俺としたことがハルヒに向かってSOS団永久不滅宣言しちまうとはね。 その後寝れたかって?寝れるわけないだろ? 眠い。全然寝れなかったんだ。当たり前か。 しかし助かる事に1時間目は自習って言ってたからな。居眠りタイムだ。 一筋の光を元に疲れた体に更に追い討ちをかける坂をこれから1年も上り続けるのかと睨みつつ 学校に到着した俺に更に追い討ちをかける一言を放ったのは誰だと思う? そう、答えは昨日と打って変わってテンションの高い涼宮ハルヒだ。 「いい?今日の1時間目は何と自習よ!!だからあたしが勉強を教えてあげるわ!!」 昨日の勉強発言撤回していい?なんて夢だと思っているハルヒに言える筈もなく どこぞの先生より教えるのが上手いんだから!!と豪語するハルヒに 眠い頭を酷使することを余儀なくされた。永久不滅宣言をして何だがこれくらい言わせてくれ。 「やれやれ」
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/5446.html
夏休みも終わって進学期が始まり、しばらくがたった。 俺は秋の訪れを感じさせる涼しげな風にあたりながら、学校へ向かっていた。 今日は偶然というべきだろうか? 俺は登校途中でハルヒと出会った。 ハルヒ「あらキョン。」 キョン「よお、ハルヒ。」 ハルヒ「ええ。」 お前の挨拶は二語だけか? 俺は黙ってハルヒの隣をついていった。 キョン「…。」 ハルヒ「…。」 俺とハルヒの間には季節はずれの蝉すら泣けないほどの沈黙が流れた。 それもそのはず、ハルヒがさっきからしきりに下を向いているからな。 キョン「ハルヒ、なんだか元気無いみたいじゃないか。」 ハルヒ「…。」 キョン「何だ、様子が変だぞ。何か悩みでもあるのか?」 ハルヒ「ゴメン。」 俺は言葉を失った。 なぜいきなり謝られないといけないんだ? それってどういう意味だ? ハルヒ「ゴメン。別に悪い意味でいったわけじゃないのよ。ただ、キョンがそんな心配性だなんて思わなかっただけ。」 キョン「おい、何が言いたいんだ!?」 キョン「・・・。」 ハルヒらしくない。 そう思ったが、口に出せなかった。 口に出したところでハルヒが混乱するだけだ。 ハルヒ「じゃあたし、先行くわ。キョンも後から来るのよ!」 ハルヒは俺にそう言い渡して、先行ってしまった。 俺はポカンと口を開けたまま、しばらくそこにたたずんでいた。 キョン「…。」 さて、場面は変わっていつもの2年5組の教室である。 まあ、別名俺のクラスと言ったところか。 今日はいつもよりも学校に来る時間が早かった。 俺は自分のすぐ後ろのハルヒの席を見たが、そこにハルヒはいなかった。 キョン「…珍しいな。」 俺がそう呟いた時だった。 「どうかしたの?」 ふと誰が後ろを向いている俺に対して正面から話しかけてきた。 キョン「…阪中。」 俺は振り向くと同時に不意に目に入ったその人物の名前を声に出してしまった。 阪中「涼宮さんのことが気になるのね?」 キョン「…別にハルヒの朝の様子がおかしかったから、それでちょっと心配してただけだ。」 俺は阪中が変な冷やかしをするような人じゃないと信じていたが、それでも人間の防衛本能のせいか阪中の妙な言葉にイライラした。 だが、それもどうやらしばしの間だけで、ストレスはすぐに解消されることとなった。 阪中「涼宮さんならきっと屋上よ。キョンくんが行ってあげるのが一番なのね。」 そうかい、どうやらハルヒは俺が知らなきゃいけないことを何故か隠しているようだ。 あくまで阪中から聞いた話による推測ではあるが…。 まあ、善は急げだ。 俺は早足で屋上へ向かった。 阪中「あ、キョンくん待って!」 俺と阪中はハルヒのいる屋上へと急いだ。 キョン「ハルヒ!」 ハルヒは俺の目の前にいた。 ハルヒはしばらくした後、ようやくこちらの存在に気付き、近寄ってきた。 ハルヒ「キョン・・・。それに・・・。」 阪中「涼宮さん、心配したのね。」 俺より先に阪中が喋り出した。 ハルヒ「ふーん。」 キョン「ハルヒ・・・。」 そこまで言ったところで俺は言葉に詰まった。 前と同じ聞き方をしたところで「しつこい」と追い返されるだけだろう。 だからと言って、他に何かハルヒが話してくれそうな問い方があるのか? キョン「・・・。」 でも、このままじゃダメだ。 何か…何か言わなければ・・・! キョン「ハルヒ、お前は俺のことがそんなに頼りないか?」 ハルヒ「…はあ?ばっかじゃないの?」 キョン「誰が馬鹿だと?」 ハルヒ「あんたよ。妙なところで心配性なのよね、ホント。」 すまん、どうやら早くもスイッチが入ってしまったようだ。 キョン「…そういう強がりが余計に心配かけているんだよ!馬鹿野郎!!」 俺がそう言ったとたん、ハルヒも阪中もビクッとした。 キョン「俺達はSOS団の仲間だろう!?お前が何やら様子がおかしいのはまる分かりなんだ。」 ハルヒ「そう…。じゃあ言わせてもらうわ。」 ハルヒはそれからとんでもないことを口走りやがったのである。 キョン「は?今、何と?」 ハルヒ「だから、SOS団をそろそろ解散にしようかと思うの。」 キョン「な、何でだ!?」 ハルヒ「飽きちゃったのよね…。ありもしない不思議を探そうだなんて。」 ハルヒ? お前の言っていることが俺にはよく分からんぞ? ハルヒ「毎日毎日同じ退屈した日々の繰り返し。正直飽きちゃった。」 キョン「おい、待てよ…。ハルヒ、お前は何を言ってるんだ? お前SOS団の活動、いつも楽しそうにしてたじゃないか。 俺の胸がむしょうにそわそわしてきた。 これはそろそろまじでやばいなと俺の本能が知らせている合図だ。 ハルヒ「…とにかく、あたしは今日からSOS団には参加しないわ。今後のことは残ったメンバーで話し合って。」 そう言って、ハルヒは屋上を出ようとする。 畜生・・・このまま行かせてたまるか! キョン「待ちやがれ!ハルヒ!!」 ハルヒは屋上の出口の前で止まってくれた。 やれやれ、間一髪だったな・・・。 キョン「お前の言ってることは嘘だな。」 ハルヒ「なっ…あんたに何が分かるっていうのよ!?」 キョン「ハルヒ…、お前が立ち上げたSOS団をこんな簡単に解散させようと思うはずないんだよ。もっとちゃんとした、SOS団に居づらくなった決定的な理由があるんだろう?」 俺は鋭い目でハルヒを睨んだ。 ハルヒ「うっ…。」 阪中「涼宮さん。何があったの?。」 ハルヒ「……。」 キョン「…俺達は仲間だろう?団長さんが仲間を頼れないなんて、情けない話だぜ?」 ハルヒ「……キョン。…あたし、怖かったのよ。SOS団のメンバーがあたしを嫌っているんじゃないかって。」 どうして今更そんなことを気にするんだ? ハルヒ「分かんない。でも、何だかふと気になるようになって…。」 俺は正直この時驚いたね。 あのハルヒが他人の目を気にするなんてね・・・。 キョン「ハルヒ。お前には分かるか?『仲間に嫌われる』というのがどういうときか。」 ハルヒ「……。」 ハルヒが普段じゃ決して見ることの出来ない不安そうな表情で俺を見つめてくる。 キョン「ハルヒが本気で嫌われたくないとか考えているなら、もっと仲間を頼れ!俺達を信じろ!」 そうだ、俺はハルヒに今までどうりにいてほしいんだ。 キョン「俺は少なくともお前のことを嫌いになりたくねぇ!」 ほんの一瞬、辺りから何一つ音がしないのを感じだ。 静まり返る中、俺はハルヒに言ってやった。 キョン「世界をおおいに盛り上げる涼宮ハルヒの団…。団長がいないと始まらないぜ。なあ、ハルヒ。」 阪中「…キョンくん…。」 ハルヒ「…キョン。勝手な行動をとった団長を許すの?」 キョン「ああ。」 そうだ、もっと俺にSOS団の楽しさを教えてくれよ。 放課後、ハルヒはSOS団にいつもどおりにやってきた。 いつもと同じ放課後の何気ない元文芸室での活動だったが、なんだろう? ひとつだけ違う点があった。 キョン「ハルヒ・・・。」 ハルヒ「な、何よ?」 キョン「今日はポニーテールなんだな。」 ハルヒ「・・・。」 ハルヒはしばらく間をおいて、言った。 ハルヒ「今日から再スタートだから、記念にってね。」 ―END―
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/860.html
ある日、妹のダイブが来る前に目を覚ました。 珍しい事もあるもんだなぁ。 なんて思ってしまう俺も俺なのだが・・・ 目を覚ました俺は自分の部屋に何か違和感を感じた。 何だ?この感覚は・・・ それを気にしていたらあっという間に時間が無くなった。 俺はその違和感が気になったものの遅刻しては堪らないのでさっさと着替えを済ませ、リビングへと向かった。 「おはよう、母さん」 「おはよー!!あんた、相変わらず時間ギリギリね」 「あぁ、いつもすまな・・・」 思わず俺の時間が止まったね。 なんたって台所に立って朝食の準備をしていたその人はなんとハルヒだったんだからな。 「何?朝からポカーンとしちゃって、まだ寝ぼけてるの?」 「は、ハルヒ!!こんなとこで何してるんだお前!?」 「朝っぱら母親を呼び捨てにするなんていい度胸ねぇ?」 危険だ・・・・・ ハルヒは顔は笑っているが声が笑っていない・・・・ 持っているおたまに得体の知れない何かが集まっていく。 このままだと間違いなく俺の明日は無い!! 「す、すいません!!以後気をつけます!!」 あぁ、俺ってここまでヘタレだったのか。 「分かればよろしい。じゃあ、さっさと朝御飯食べちゃいなさい」 「あ、あぁ、分かった」 とりあえず、状況を整理しよう。 どうやら、今の俺はハルヒの子供らしい。 という事は当然父親もいる訳だな。 ハルヒと結婚した勇気ある奴はどんな奴かね? 早く面を拝んでみたいものだ。 今、何かムカッときたがこれはただ単に腹が減っているからだろう。 そうに違いないさ。 そう考えをまとめ、ハルヒの作った朝食を食っていると誰かが降りてきた。 そう、遂にハルヒの旦那の面を拝める時がきたのだ。 ドアが開いた音のする方へ向いた俺は言葉を失った。 そりゃそうだろ。 そこには、ダルそうにしている俺が立っていたんだからな。 起きてきた俺が食卓に着くとなんとも言えない嫌ぁな雰囲気になった。 この空気はなんなんだ? さっきから俺とハルヒが全く口を聞かない。 これが噂に聞く倦怠期ってやつなのか? 俺は小さな勇気を振り絞って聞いてみた。 「な、なぁ、さっきからどうして二人とも口聞かないんだ?」 すると二人の鋭すぎる視線が俺に突き刺さった。 痛い・・・痛すぎるよ・・・(泣) 「「別になんでもない(わよ)!!話したく無いから話さないだけだ(よ)!!」」 二人とも息がぴったりだった そう言い終わると二人は睨み合いを始めていた。 あぁ、これが夫婦喧嘩というものか。 これは確かに犬もこんなもん食ったら腹壊すわなぁ。 しかし、未来では俺はなんとかハルヒと平等な地位を獲得している様で安心した。 「喧嘩してるのは分かった。で、原因は一体何なんだ?」 また視線が飛んできた。 今度はあのバチバチいってるのも一緒にな。 「「それはハルヒ(キョン)が俺(あたし)の言う事全く聞かないからだ(よ)!!」 またハモってる・・・ さて俺はあえてこの二人にこの言葉を送りたいと思う。 このバカ夫婦がっ!! その後、どうにか喧嘩の原因を聞きだした俺は二人を説教していた。 原因は俺、つまり未来の俺とハルヒの子供の進路の事だった。 「分かった。俺の事をそこまで思ってくれるのは大変ありがたい事だと思うよ。でもな、その事で二人が喧嘩したって意味無いじゃないかっ!!」 俺は机を「バンッ」と思いっきり叩いた。 いつもの俺ならここまでする事は無いだろう。 しかし、さっきの原因不明のイライラが俺をどんどんヒートアップさせる。 未来の俺とハルヒはすっかりシュンとなっている。 それに構わず俺は続けた。 「いいか?自分の事で親に喧嘩されたら子供は辛いんだぞ!!自分が原因なのがどれ程苦痛かなんで分かってやれないんだ!?」 「「ご、ごめんなさい・・・」」 それを聞いた俺は一気にクールダウンした。 「分かってくれればいいんだ。こんな息子だけどこれからもよろしくな」 そこまで言うと俺は急に意識が遠くなった。 気が付くと全ての時間が止まっていた。 いや、厳密には俺と俺の前に立っている奴以外の時間がと言っておこう。 「お前は誰だ?」 「はじめまして。僕はあなたの息子です」 こいつは何言ってんだ? 「何を言ってるのかさっぱり分からん。どういうことか説明してくれ」 「今回の両親の喧嘩がいつもよりすごくて僕の手に負えなかったんです。そこで、よく母さんが「学生時代のキョンは」と言っていたので助けてもらおうと思ったんです」 俺の子よ、苦労してるんだな・・・・ 「そうか、そりゃ済まなかったな。ちゃんと説教しといたからもう大丈夫だと思うぞ」 「えぇ、見てました。本当にありがとうございました」 俺はふと気になった事をそいつに聞いてみた。 「でだ、俺達はいつもあんな感じなのか?」 「いえ、いつもはそりゃもう仲の良い夫婦ですよ。暇があれば四六時中ベタベタしてますから」 「そ、そうか・・・」 イカン、顔が段々熱くなってきた。 その瞬間、俺は何かに吸い込まれるような感覚に襲われた。 「そろそろ時間みたいです。名残惜しいですけどお別れですね」 「あぁ、そうだな。最後に1つ聞いていいか?」 「何ですか?」 「お前は俺達の子供で幸せか?」 「そんなの聞くまでも無いですよ。気苦労は絶えませんけど僕は2人の子供で良かったと思いますよ。では未来で会いましょう」 「あぁ、じゃあな」 そこで俺の意識は完全に何かに吸い込まれた・・・ 朝、違和感の無い部屋で目を覚ました俺はほっと胸を撫で下ろした。 学校では昨夜の出来事のせいでハルヒの顔をまともに見る事が出来なかった。 あぁ、気まずい・・・ その気まずさからハルヒを避けていたら超特大の閉鎖空間が発生したとかで古泉から散々ダメ出しをされた。 その翌日、避けていた事をハルヒに謝ったら 「キョン、あたしを傷物にしたんだからちゃんと一生責任取りなさい!!」 とか、教室で大声で叫んでくれやがった。 そして今、ハルヒに課せられた罰ゲームとしてなんと婚姻届を書かされているのだ。 そもそも俺が18歳にならなければ役所が受け取ってくれないと思うんだが・・・ 「キョン、手が止まってるわよ!!さっさと書きなさい!!」 「へいへい」 そんな理屈がこいつに通用する訳無いか・・・ はぁ、やれやれ・・・ fin
https://w.atwiki.jp/nitron/pages/71.html
ニコ生用再生コマンド TOPニコ生コミュニティーへ 100年はえぇーんだよっ 10点減点 5秒でかたづけてやる FUCK1 FUCK2 W WW あーざーすっ あぁそうだねぇ あなた様の素晴らしいプレイを拝見させていただき あの地震が ありがタマキン ありがとうございますっ あれっ、シカトですか? あんたつえぇーなー、おらワクワクしてきたぞ あんたにそんな偉そうな事言われる筋合もお見合いもないわよっ あんなやつ、いっきに片づけてまえぇー あんな汚ねぇ手つかっちゃ、ずるいよ あんな下級戦士にやられるわけがないぃー いくら練習しても、ダメなものはダメなんだよぉー いじめはやめろっ いらっしゃいませ え~頑張ってくださいっ おーい、どうしたんだ?早くやれよ おーーい?何やってんだよぉ オーケー? おしまい おつかれさまでした おとなしくタヒんでね おめぇ、ゆるさねぇからなぁー おめぇーも倒してやるさーっ おめでとう おめでとうございます おらの筋斗雲と同じくらいはえぇーじゃねぇーか お帰りくだされっ お前、ほんとにク/ソだよな お前、何言ってんだよ お前なんか、俺がコッテンコッテンにたおしてやるからなぁー お待たせいたしました開演です お任せ下さい お詫びいたします かーめーはーめー波ぁー ガツーンと言ってやりますよ がっかりだよ カッコいいだろぉー がんばって きーびしぃー ゲームオーバーですぅ~ こ/ろしてやる こいつは俺の獲物だ このアマチュアがぁー この俺が宇宙一なのだぁー この気の迷いが、災いを招くんだ ごめんなさい ごめんねっ これで終わりです これはムカつきますねぇー これは警告だ こんな事が、あってたまるかぁー こんにちわだニャン ご期待下さい ご苦労様でした ご無礼いたしました ご覧のスポンサーの提供でお送りしました スイッチオン ズーム イン スタートです すっごいなぁ、みんなに教えようかなぁ すみませんでした せーの そう簡単にはできないよぉー そーですね そこのKS野郎 それじゃー始めよう それでは行きましょうか それでは参りたいと思います それも・・・そのはず・・・ そろそろタヒんでもらおう タヒをもって償えっ チェケラッチョー チャンネルはそのまま できたっ できる? でしゃばるなよっ どうぞよろしく どーんなもんだーい どろぼぉー なぜお前は弱いのだ なっ、何だとぉー なんだよ、うるっせぇーなぁー なんでやねん1 なんでやねん2 ねぇ聞いてるぅー? ば/か ば/かかお前は ば/かじゃねぇーの ば/かにしてもらっちゃ困るね は~こら、楽しみですね はいっ、みんな注目 はいっ、次っ バトルの後は友達だ ハロぉーぅっ ふざけるなよ、サル野郎 ホモじゃっ まーいいじゃありませんか マイクロホンチェック マジはんぱねぇーかっけぇー まだ、つづけるんですか?やめるなら今のうちですよ また後で、登場するからねぇー まっ、まっさかぁー みなさんこんにちわ みなさんこんばんわ みんなわかったかな? もう少しじゃったのぉー もぉーくたくただよ やるじゃないっ よぉーわぁーっ よーこそぉー よかったねぇー よろしくお願いします ラストぉーどーぞっ レコード逆回転SE わかんないんです んな訳ねぇーだろっ 偉そうな口を聞くんじゃない 違います 一体どういう事だべぇー? 縁起でもねぇー事、言わねぇーでけろぉー 欧米か 殴りてぇー 殴り音 俺をなめるなよ 俺を本気にさせた、テメェが悪いんだぜぇー 何か御用かな? 何やってんだぁ~お前 皆さんがちょっと動揺してる間にどんどん行きましょう 関係ねぇー 帰れてゆーたら帰れっ 逆転満塁さよならホームランですよ 強かぁーー 興奮しました 緊急事態発生じゃー 君は、コスモを感じたことがあるかっ!? 決まっていない 誤りでした、失礼いたしました 山崎ハコ 呪い 斬りつけSE 始めぇー 私は満足ですよ 時間的には長い試合ですが、見ている方はちっとも長さを感じませんねぇ 自分をこ/ろしたいですね 失敗!失敗! 実は僕、痔なんですよ 集中しろーっ 勝てるかもしれねぇー 消え失せろ、ザコが 焦っちゃいかんぞ、のんびりやれぇっ 上様のおなぁ~りぃ~ 申し訳ありません 申し訳ありませんでした 正直な人 生きてここから出られると思うなよ 絶対にあきらめちゃダメよ 絶対に許さんぞぉー 早くおっぱじめろよぉー 大変申し訳ございませんでしたっ 男と男一対一で勝負しようじゃねーか 超~気持ちぃ~ 超~得意なんだからっ 痛てぇーだろぉーがよぉー 二度とこのような事は、なさいませんように 任天堂DS音 納得がいくまで追求します 爆発音 卑怯ばぁい、正々堂々と戦うべきでしゅ 美男美女が勢ぞろいでございますね 負けたことに気づいてないのが最悪 負けるわけにはいかないんだ 僕、情けなかぁー 本当にお前がクロスと一体になれたか試してやる 本日はご多忙中にもかかわらず 万に一つの勝ち目などない 明日もよろしくね 明日来てくれるかな? 優勝するとすばらしいプレゼントがあるらしいよ 遊びは終わりだ 練習に集中しなくちゃー TOPニコ生コミュニティーへ
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/525.html
俺は、ハルヒの事が好きだが、告白するなんぞ出来ない…… 何故なら、俺はツンデレだと自覚している。 それなのに、いつものように生活している…… 「涼宮ハルヒの憂鬱キョンとハルヒの絆」 今の季節は夏、俺は今、学校へ行ってる所である。 谷口「よぅ!キョン!」 声掛けるな、暑苦しい 谷口「何言ってんだ?クールな口調になってるぞ」 なってない、なってない 場所変わって、教室 入ると、ハルヒがいる かなり暇なようだ 「よぅ」 ハルヒ「あ、キョン、放課後ミーティングあるからね、遅れないように!」 「はいはい」 と、言う時に岡部が来た 放課後、俺はいそいそとSOS団部室へ行った。 入る前にノックして入るのが俺のルールだ みくる「は~い、どうぞ」 我らアイドル、朝比奈みくるの声である。 う~ん、可愛い声ですね! 入ると、朝比奈さんと古泉と長門……そして、ハルヒがいた。 古泉「こんにちは」 長門「……(ゴクリ」 みくる「こんにちは、キョン君」 ハルヒ「遅い!ミーティングするわよ!」 やれやれ……挨拶無しですか、ハルヒさん いつものようにミーティングをやり、終わった。 そして、長門が本閉じた時が帰る時間になるのだ。 帰ろうと思ったのだが…… ハルヒによって呼び出された。 ハルヒ「キョン、あんたは残って……話したい事あるの」と言われた。 このまま、帰ったら死刑にされるから仕方なく了解した。 今、部室には俺とハルヒだけだ 「……」 ハルヒ「……」 「……」 ハルヒ「…ねぇ、キョン」 「何だよ」 ハルヒ「…あたしの事どう思ってるの?」 「?俺がハルヒの事どう思ってるかってか?」 ハルヒ「…うん」 唐突過ぎて呆然してしまった。 俺が、ハルヒの事どう思ってるのかって? ハルヒ「……」 「……」 ハルヒ「……」 長い沈黙である。何分経ったが分からないぐらいだった……そして、俺は沈黙を破った 「…最初は変な奴かと思った」 ハルヒ「!?」 「しかし、俺は、お前と一緒にいると楽しいと分かった」 ハルヒ「……キョン」仕方ない、ここで告白しようか……言うんだ!俺よ! 「……ハルヒ、俺はお前の事……」 キィィィィ…… な、何だ!?この耳鳴りは!? ???「やっと、見つけたね」 この声……まさか!? ???「やっと、見つけたね」 「お前はまさか……」そう、俺を2回襲い、殺そうとした………それが 「朝倉涼子!」 朝倉「当たり、流石、キョン君ね…私の事を覚えてるなんで」 「何で…何でこんな所にいるんだ!」 朝倉「私は、キョン君と涼宮さんに会いたかったの」 ハルヒ「朝倉さん、あんた、カナダへ行ったんじゃあ……」 朝倉「お久しぶり、涼宮さん……残念だけど、カナダ行ってないし……それに」 と、部室が異空間に変わった。 朝倉「私は普通の人じゃないわ」 「!?」 おぃおぃ、マジか? 朝倉がナイフ取り出したぞ…… ハルヒ「あ、朝倉さん……」 ハルヒは、呆然してるな… ま、仕方ないだろ?誰でも信じたくない出来事で呆然するのは当たり前… じゃなくで、こういう状況はどうすんだ……気付いてくれよ、長門! 朝倉「ふふふ……どうするの?」 くっ、逃げるしかないか…… おぃ、ハル…… ハルヒ「これは、どういう事?ねぇ、キョン!」 ちっ、ハルヒが混乱に陥ってるな… 「ハルヒ!逃げるぞ!」 ハルヒ「キョン!」 俺は、ハルヒの手を捕まって部室から逃げた。 とにかく、稼ぐんだ!時間を稼ぐんだ!長門! 朝倉「逃がしはしないわ」 逃げる、逃げる、とにかく逃げる…… …おかしい、階段が見当たらんぞ……これがエンドレス廊下かぃ! 笑えないな 朝倉「そう、笑えないわ」 いつの間に!? 朝倉「今度こそ、あなたを殺して、ハルヒを目覚めて貰うわ」 くっ、ここでゲームオーバーか! 朝倉「死になさい」 朝倉のナイフを俺の方へ投げる… ???「……させはしない」 この声は! 「長門!」 長門「…遅れてゴメン」 朝倉「ふふふ、まだ現れたね、有希」 長門「あなたは、私が消したはず」 朝倉「私は諦めない主義なんでね」 長門「あなたは、前より強くなった」 前より強くなった!?と言う事は、前のようには出来ないって事か!? 長門「…そう」 冗談じゃねぇ!と言う事は、この異世界から脱出するしかないのかよ! 長門「…そう」 朝倉「脱出しても無駄、私が追っかけるわ」 長門「…一つ出来る事ある」 「それは、何だ?」 長門が言ったのは、次の事である。 朝倉を無へ帰る事 つまり朝倉と闇に包まれた世界へ行けってか…… 「で、それはまだなのか?」 長門「……もう完了した」 なるほど、長門ってなかなかの策士だ。 長門「出口を開ける」 と、長門が呪文を唱えて、何も無い空間から出口が現れた。 「行くぞ、ハルヒ」 ハルヒ「う、うん」 ハルヒを出口まで連れて行く時に、突然、キョンは腕を捕まれた 朝倉「させない」 キョン「な、放せ!」朝倉「暴れても無駄よ」 ハルヒ「キョン!」 くっ…………仕方ない… 「ハルヒ!長門!出口まで走れ!行くんだ!」 ハルヒ「で、でも!」「行くんだ!」 ハルヒ「……分かった、行こ、有希!」 と、ハルヒは、長門を連れて走った… そう、それでいい… 朝倉「何をする気?」「お前を、道連れしてやる!」 朝倉「ま、まさか!?」 周りの空間が闇に染まって来る ハルヒ「キョン!何してるの、早く!」 ハルヒ、長門…脱出したな… 長門「…キョン」 寂しがるな、長門… ハルヒ「キョン!ねぇ!」 ハルヒ…今までありがとな… 「っ!ハルヒ!お前は、俺の……」 ハルヒ「キョーンッ!」 ――恋人だ 異世界の扉が閉ざされ、元の部屋に変わった。 そして、キョンは行方不明に… キョンが消えた… あたしが好きだったキョンが消えた… 「有希!キョン救えるでしょ!」 長門「…救える確率は低い」 「そ、そんな!?」 長門「彼の事は、病気という理由しておく」 「……」 長門「…ゴメン、ゴメンなさい」 「!ゆ、有希…」 泣いてる…あんな無感情だった有希が無いてる 「あ、あんたは悪くないのよ…有希、いいの、自分で責めないで…」 長門「うん…でも、ゴメンなさい」 「いいの!二人で救う事だけ考えようよ……うっ、ううっ…」 長門「……」 お互い、抱き合って泣いた…神はあたし達を見守ってるだろうか… 次の日 岡部「えー、●●●は病気で欠席だ」 クラス一同「エェーーッ!?」 ……キョン キョンの机… キョンの置き勉… …キョン 「よぉ!」 「映画、成功しよう!」 「やれやれ…」 「SOS団の事頼むぜ」 「俺、実は…ポニーテール萌えなんだ」 「ハルヒ、それ似合ってるぞ」 「ハルヒ、ハルヒ、ハルヒ……」 会いたい、キョンに会いたい… 阪中「どうしたの?ハルヒさん……泣いてるの?」 え、泣いてる? あたしが泣いてる…… 会いたい、キョンに… 授業が終わり、放課後になり ハルヒは部室へ行き、古泉やみくるに昨日の事を伝えた。 みくる「そ、そんな…キョン君が…」 古泉「キョンさんが行方不明に…」 二人も驚いてた。仕方ない事だったのよね…いえ、仕方なくない! 長門「ゴメンなさい」 「有希は悪くないのよ、全て…あの子が悪いのよ」 長門「……」 あたしは、信じてる…キョンは今どこにいるかを! それに… 「古泉君、みくるちゃん…あんた達は、やっぱり…」 古泉「…気付いてたのですか?」 みくる「そうです、私は未来人です」 そっか…有希が宇宙人だとすれば、この人達は…と思ってたけど… あの時、キョンが必死に言ってたのはこれだったのね… 「…古泉君、みくるちゃん、有希、あたしは何者なの?」 みくる「あなたは…時間を変える能力あります」 長門「こっちは、三年前…情報を爆発させたのは…あなた」 古泉「しかし、我々…『機関』では、あなたの事を「神」だと思ってる者がいます」 つまり、あたしは何者がはっきりしてないって事ね 古泉「恐らく、そうなります」 ん?と、言う事は 「あの時…そう、キョンとあたしがいた空間はもしかして?」 古泉「空間?巨人がいっぱい出て来た空間の方ですか?」 「うん、そう」 古泉「あれは、「閉鎖空間」と言われる空間なんですよ。あなたのイライラで発生した空間です… あの巨人は「神人」と呼ばれる者なのです。アレは、あなたの不機嫌で出来た者達…あなたは夢だと思ってますが、違います。」 「え!?じゃあ…アレは…夢じゃないって事?」 古泉「えぇ、そうなります」 な、ちょ…え!?うそ!?あのキスはゆ、夢じゃないの!? 古泉「何があったか知りませんか、夢ではなく現実です。あなたの不機嫌が爆発したら…ここは無くなる可能性あります」 え?あたしの不機嫌で世界が無くなる? 「それは、世界崩壊って事なの?」 古泉「…はい」 そんな!あたしは知らないまま生きてたと言う事なの… みくる「涼宮さん、あなたは知らないまま生きて欲しいと望んで来ました…まさか、この時に告白するとは思いませんでした …すみません」 「みくるちゃん…いいの、あたしは気にしてないわ」 長門「私はあなたを守る」 「ありがとう、有希…ありがとね…」 と言いながら、あたしは、ふと、窓の方へ見た… 橙色で染まってて美しかった。 キョン、今どこにいるの… ???「うっ…こは、ど…だ…さ…い…みん…会い…い…ハ……ハル……ルヒーっ!!」 ハッ!? …ゆ、夢か… あれから、一ヵ月後…あたしは元気になって通っている。 でも、家では元気じゃない… 泣いた日だってある… 「んー?何だったのかしら?あの夢…」 時々、声が途切れて、何で言ってるのか分からなかった… なのに、どこが…懐かしい感じがしたわ… 何だったのかしら? SOS団室 「やっほー、みくるちゃん!お茶!」 みくる「は、はい…ちょっと待って下さいね」 みくるちゃんのメイド姿を見ると、嫌な夢忘れられるわ… 古泉「こんにちはー、おや?ハルヒさん、今日も大丈夫ですね」 「あったり前よ!それに比べて、キョンなんか…あ…」 古泉「…すみません」 みくる「…お茶置いときますね」 「あ、うん…」 そっか、今はキョンいないんだ…あたしって、まだ思ってるんだな… 「……キョン…」 まだだ、あたしって弱くなったな…キョンがいたら、きっと笑ってしまうよね 長門「……」 古泉「おや?長門さん、顔色が悪いですよ…大丈夫ですか?」 長門「う、うん…」 みくる「本当に大丈夫なんですか?」 長門「大丈夫」 と言って、立ち上がった。 古泉「おや、帰るんですか?」 長門「…(ゴクリ」 と、有希は歩き出した途端 「…ぁ…」 ドサッ! 有希が倒れた… 「!…有希っ!有希!有希!」 みくる「有希さん!」 古泉「保険室へ行きましょう!」 保険室 「有希、どうしたのかしら?」 みくる「そうですね…」 シャッ カーテンを開く音だ。 古泉「先生から聞きましたが…長門さんは、寝不足に疲労が溜まってたんですよ」 「寝不足と…」 みくる「疲労?」 古泉「えぇ、そうです」 「な、何で…有希が?」 古泉「…ハルヒさん、心当たりありますか?」 心当たり?……まさか… 「ずっと、キョンを探してたの?」 古泉「……」 みくる「……」 有希…有希も、まだキョンの事を… 「有希…何で、何で…あたし達と相談しなかったのよ…ズルイわよ!あたしは、団長なんだからね!…うっ、うっううっ…」 みくる「ハルヒさん…」 古泉「……」 有希は、今も寝てる…優しい天使の様に …よし、決めた! 「皆!よく聞いて!」 古泉「はい?」 みくる「何ですか?」 「あたし達と一緒にキョンを探そう!きっと、どこかにいるわ!」 みくる「涼宮さん…」 古泉「これは、良い決心ですね…僕も探しましょう」 「皆、頑張ろうね!」 長門「私は…まだ諦めてない…私も探す」 と、有希は起きてた 「有希!ちゃんと寝ないとダメよ!」 長門「大丈夫…時間を早くした…もう平気」 有希… みくる「行きましょ!」 みくるちゃん… 古泉「僕も一生懸命、探しますよ」 古泉君… ???「ハルヒっ!」 「!…え?」 周りを見ると誰もいない… どういう事?あ! (???「ここは、どこだ…寒い…皆に会いたい…ハルヒ、ハルヒ、ハルヒーっ!」) あの夢、まさか…キョン!? 皆に、夢の事を話すと 古泉「夢の中にキョンさんか?」 みくる「まさか、キョン君は…今、そこにさ迷ってるって事?」 「かもしれないわ…キョンは多分…」 長門「その可能性ある」 古泉「……」 みくる「……」 「…有希、何とか出来ないの?」 長門「ある」 古泉「え?それは…まさか?」 みくる「どういう事ですか?」 「古泉君、何か分かったの?」 古泉「…閉鎖空間へ行き、欠けた場所あれば…そこが異空間の入り口です」 欠けた場所? 「はい、例えば…そこに壁があるとすれば、閉鎖空間では壁では無くなってる…と言う事です」 つまり、あった物が無いとすれば、そこが異空間への入り口って事ね 「で、どうやって行けるの?」 古泉「ご安心を、僕の出番ですから」 古泉「ここでいいでしょう」 ここは、校庭…何でこんな所に? 「って、ここで何か出来るの?」 古泉「はい…その前に、あなたに言いたい事あります」 「何?」 古泉「僕とみくるさんに、長門さんは行けません…何故なら、あの空間はあなたの物ですからね」 「……」 古泉「一人で探せますか?」 「探せるに決まってるでしょ!」 古泉「そう聞いて、安心しましたよ…さぁ、目を瞑ってください」 目を瞑る?取りあえず、言われた通りにやるしかないわね… 古泉「失礼ですか、手を貸しますよ?」 「うん」 一歩、二歩、三歩… 古泉「目を開けて下さい」 ……ここは、閉鎖空間ね 古泉「後は、頑張って下さいね」 と言い、古泉君は消えた… …さて、キョンはどこにいるのかしら 一年五組の教室… 保健室… 食堂… トイレ… 屋上… 体育館… 色々、探したけど…見つからなかった… 「ふー…ここにも無いわね…と言う事は…SOS団室だけか…」 SOS団室のある校舎へ行き、階段に登り、到着した。 ここなら…見つかるはず…お願い! と、あたしは思いながら開けた… 何にも無い… 「う、うそでしょ…どこにも無いわよ…」 ん?何か…何か変ね… ロッカー…コスプレ服…盤ゲーム…お茶入れ…ヤカン… あ、PCが無い… 「どういう事?」 よく調べると…PCがあった机の向こうに入り口あった… 「入り口から見れば無かったのに…後ろにあったなんで…」 そう、そこが異空間への入り口… 何だが、怖い…怖くで行けないよ…キョン…あたしは本当は気が弱いのよ…キョン… 「うっ…ううっ、ひっ…怖いよぉ…」 カダンッ! 「ひっ!……な、何?」 周りを見ると、床に何か落ちてた… 「…これは…」 よく見れば、キョンの鞄だった… キョンが行方不明になって以来、鞄をおばさんや妹ちゃんに返してなかったっけ… キョン… 「ん?鞄の下に何かある…」 と、鞄の下にある物を取って見ると… 一冊のノートだった… 「何で、こんな物か?…日記?」 ノートの表面にデカデカと「日記」と書かれてあった… とにかく、開いて見る ○月○日 変わった女がクラスにいた。そいつの名は涼宮ハルヒ。 しかし、可愛かったな…ポニーテールすれば物凄く可愛いよな ○月○日 ちょっと話し掛けてみた…すぐに終わっちまった… まったくよ、こんな可愛い子がいるのに勿体無くね? ○月○日 ハルヒを観察したら、分かった…こいつ、曜日ごとに髪型を変えてるな…うむ、面白い ○月○日 SOS団か…まぁ、仕方ないか… 間違った方向へ行かなきゃいいんだがね… キョン…こんな事を日記書いてたの? ○月○日 夢を見た…ハルヒとキスする夢を…うわぁ、恥ずかしい!フロイト先生が笑ってしまうぐらい恥ずかしい… でも、味が良かったな… キョン…嬉しかったの? キョン… 最後まで読もう… ふー…次のページへ行くかな… ベラ・・・ 「ん?これは…最近の」 ふと、手が止まった… ○月○日 ハルヒを見て思った…ハルヒは確かに可愛い。 怒る顔も可愛かった…だけど、ハルヒと一緒にいるだけで楽しい… だから、俺はつい嬉しくなる…ハルヒはハルヒらしく行動してくれると俺は安心する… めちゃくちゃな行動をするハルヒが好きだ。気が強いハルヒも好きだ。 俺は、素直に「好きだ」と言えない…それでも、愛してる… ハルヒ、気付いてくれるのだろうか… キョン…あたしの事をそう思ってたの!? 「キ、キョン…あぁ、会いたい!会いたいよ!…気が強いハルヒが好き?…でも、あたしは…本当は、気が弱いのよ!」 あたしは、泣いた…物凄く泣いた…会いたくでも気が弱いまま… (キョン「ハルヒ、お前は!俺の……」) !? (――恋人だ) キョンは、こう言ってたわ…あたしを恋人してくれたんだ…あたしは、頑張るよ!いつまでも気が弱いままじゃダメだよね…キョン、待ってて!) と、あたしは異空間へ入った。 暗い… 上と下が分からない… 寒い… キョン…どこにいるの… フワッ! あたしがいた暗かった異空間が、いきなり明るくなった。 「な、何なの?」 ここは、あたしが通ってた東中… そして、今いるのは、校門の辺り… 「…!!」 「……!」 校庭の辺りに声が聞こえる… あたしは、そこへ行って見た 「あ、あれは」 そう、あたしが見たのは…中学校頃のあたしと…ジョン・スミスだった。 どうやら、線引きをやってる最中だった。 どうやら、線引きが終わったようだ 「ねぇ、あんた。宇宙人、いると思う?」 「いるんじゃねーの」 「じゃあ、未来人は?」 「まあ、いてもおかしくはないな」 「超能力者なら?」 「配り歩くほどいるだろうよ」 「異世界人は?」 「それはまだ知り合ってないな」 「ふーん」 あの男…確か… 「ま、いっか」 「それ北高の制服だよね」 「まあな」 「あんた、名前は?」 「ジョン・スミス」 ジョン・スミス!?ジョン・スミス…まさか…キョン? そうか、キョンは3年前へ行ったんだ… キョン…あたしの知ってるジョン・スミスだったんだ… その後、昔のあたしとジョン・スミスが去った後、校庭へ行った。 そっか、これを書いたのは…キョンだったんだ… ありがとう、キョン… と、その時にあたしの後ろから光が放った。 「え?」 あたしは、振り向いた その光が人の姿に変わった…そして、光が消えた。 「え?あ…」 目の前にいた…あたしの会いたい人がいた… キョン「久しぶりだな、ハルヒ」 ハルヒ「キョン!」 あたしは思わずキョンへ駆け寄り、抱き付いた… 「会いたかったよ!キョン!」 キョン「スマンな、心配掛けて…」 いいの…キョンがいたから、謝らなくでいいの! 「キョン…」 キョン「…ここは、3年前の七夕だな」 「うん」 キョン「さっき、気付いたんだろ」 「うん!」 キョン「……」 ハルヒ「……」 お互い見つめ合ったまま、動かない… キョン「ハルヒ、ただいま」 ハルヒ「おかえり、キョン」 ???「あら?いい雰囲気ね」 !?あの人が来た!?学校の屋上? と、二人は学校の屋上を見る キョン「いい加減しろ…朝倉涼子!」 朝倉「あら、張り切ってるね?キョン君」 いきなり、キョンサイドへ切り替わりまーす! 朝倉「ふふふふ…どうするの?」 ハルヒ「キョン…」 あぁ、大丈夫だ!ハルヒ、俺が守ってやるさ 「朝倉!俺は思い出したぞ」 朝倉「何を?」 「長門から聞いた事ある。この異空間は自分の意思で物を変えれると聞いた! だが、それも条件あるんだろ?」 朝倉「あら、有希ってお喋りね」 「その条件はここの異空間とはピッタリらしいな?しかも、この異空間はコンピュータ世界だろ?」 朝倉「で、それがどうしたの?まさか、物を出すとか?」 「大当たりだ。普通の人でも出せるらしいよな?だったら!」 俺がイメージした通りに物が現れた…それは銃だった。 それを取って、素早く構えた。 「もぅ、お前の思い通りはさせねぇ!そして、お前を撃つ!」 朝倉「!?」 「……」 朝倉「ふふふふ、あーっはははは…この私に何か出来るというの?」 朝倉「ふふふふ…行くよ!」 と、朝倉の手からナイフが出て来た。 「くっ!」 銃で防御する俺 ハルヒ「キョン!」 「ハルヒ!お前は隠れてろ!」 ハルヒ「う、うん」 キン! 朝倉「ハルヒを逃してどうするのよ?キョン君!」 キン! 「ハルヒは俺が守る!朝倉、お前がやってる事は間違ってる!」 キンキン! 朝倉「それがどうしたのよ!私が間違ってる?それは無いわ」 キンッ! 鍔迫り合いする両者 「それは、お前のエゴだって…分かってるのか?」 朝倉「さぁ?分からないわ」 「ふざけんな!」 と、俺は弾き返した 朝倉「私は、ふざけてないわよ?」 朝倉「あなたがいる世界はつまんないでしょ?」 「つまらくはない、むしろ、楽しいさ」 朝倉「あら?我慢してるの?」 「…俺は、ハルヒがいる世界が好きだ…だが、お前が思うような世界は欲しくない」 朝倉「あら、ハルヒ、ハルヒって言うけど、そんなに好きなの?」 と、朝倉は「やれやれ」のボースをしてる。 「確かに、好きだ…あいつは気が強くでも、本当は気が弱いところがある…それでも守りたい…」 朝倉「ふーん…」 「ハルヒはハルヒだ、お前の思うようにはさせない!」 朝倉「でも、もう遅いよね…どの道、あなたが死ぬのだから」 「それはどうかな?」 朝倉「え?影?まさか!?」 朝倉は、月の方へ振り向いた 「遅かったな……長門!」 そう、月を背景して現れた 長門「情報結合の解除を申請する」 と長門が言うと、朝倉のナイフが消えた 朝倉「そ、そんなバカな…」 説明しよう!キョンは戦略を考えていたのである! 銃を出した後、長門の事を思い浮びながら戦ったと言う事だ! 時が来たら、それを実行したのがキョンの策…流石、策士は伊達じゃないぜ! 朝倉「くっ…」 朝倉は、少しよろめく 「朝倉!お前の負けだ!」 と、銃を構えた 朝倉「くっ!これが私の負けなのね…」 「朝倉!これで…終わりだぁっ!」 と、銃の引き金を引く バァン… 朝倉「あぁ…私の…ま…けね…」 朝倉は涙の泣かしながら、結晶化になり…消えた。 「…長門、ありがとな」 長門「…(ゴクリ」 …さて、ハルヒの所へ行くか… キョン…あんたの想いは分かったよ… あたしの想い…キョンの想いは繋がってたんだね… キョン「ハルヒ!」 「キョン!…戦いは終わったの?」 キョン「あぁ、終わったよ」 「……」 あれ?何で有希がここに? 長門「私は、ここから出る…後は、あなた期待」 と言って、消えた。 あぁ、CGが何かのプログラムかな? キョン「…ハルヒ、ここで言わせて貰う」 「何?キョン」 俺の想い…まだ変わってない…今なら言える! 「ハルヒ、お前の事好きだ!付き合ってくれ!」 キョンの想い…確かに受け取ったよ…あたしの想い受け取って… 「あたしも好きだよ!あんたじゃないと…ダメなんだからね…」 ハルヒ、確かにお前の想いは受け取ったよ… 「ありがとう、ハルヒ」 ハルヒ「こっちもありがとう、キョン」 「ねぇ、キョン」 「ん?何だ?ハルヒ」 「キ、キスしてくれない?」 「…あぁ、するよ」 と、お互いの唇が重なる ハルヒは可愛い。 キョンは優しい。 何かあろうと守ってみせる。 何かあっても守りたい。 そして、俺は…それぞれの想いを今、一つになる。 そして、あたしは…それぞれの想いを今、一つになるよ。 俺は、あたしは、愛されるより愛したい。 そして、生きて行きたい。 ――永遠に エピローグ あれから、一週間後…あたしは元気に通ってる。 キョンに会いたいから楽しみに通ってる。 俺は、ハルヒに会うため楽しみに通ってる。 色々あったけど…これで、恋人同士になるな… 「おぅ、ハルヒ」 「あ、キョン」 俺は守りたい奴がいるから… あたしは会いたい人がいるから… 「おはよう!」 「おはよう!」 俺たちは あたしたちは 強い絆を結ばれているから 完